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異業種転職に前向きになれる短編小説

異業種転職に前向きになれる短編小説を見つけました。
相川英輔「さかさまの洗面器」です。
小説すばる2021  2月号に掲載されています。

ここからはネタバレ。

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銀行で働く主人公に発せられる会社からの辞令は、老人介護施設で働けというもの。
人によっては遠回しの退職勧告として受け取れるものでもあると思うのです。
主人公もショックを受けるのですが、前向きな登場人物の一人が主人公の気持ちを180度変えます。

「いいじゃん。老人介護施設」と明るい声で言い、「そんな楽な仕事じゃないよ、きっと」とムッとする主人公に「そんなの、やってみないと分かんないよ。実際に働き出したら楽しくてしょうがないかもしれないよ」と返します。

ずいぶんお気楽な奴だなと思うし、主人公もそう思うのですが気持ちが軽くなっていくのです、不思議なことに。主人公も、読者も。人間は新しいことに対してどうしてもネガティブになりがちですが、こういう前向きな考え方って大事だなと思うのです。

とにかくこのお気楽そうな登場人物、本編を通して読むと不思議と魅力的なのと、銀行の仕事にモチベーションだだ下がりの主人公が刺激を探しにインスタを使って、とあることをするのですがそれがまた「!!!」な事で。「さかさまの洗面器」というタイトルも読後は理解でき、スーッとした気持ちにいざなってくれます。

 

・会社から希望しない転籍を言い渡された人
・今の仕事にやりがいを見いだせない人
・日々に刺激が足りないとお悩みの人
・仕事の悩みを相談できる人がいないという人

こんな人が読んだらきっと面白いよ、と感じる短編小説です。20ページほどなので、普段本を読まない人でも読みやすそうですので、機会があれば手に取って見てください。